激甘カレは超セレブ


一点を見つめた香里は、アフターにも関わらずグロスで潤ってる小さめの口をぱくぱくさせて。


「………しゃ……ちょ……」



「あぁん?なんてぇ?香里さんとうとうお魚になっちゃった?こんなとこにシャチなんか居るわけないじゃん。」



アンタ明らかにあたしとは目があってないね。

だってなんかちょっと明後日見てる。


あらやだ本気で大丈夫かしら、このこ。


笑いすぎて脳ミソ溶けたんじゃない?



「違っ……るい、後ろ……」


ちょっと、その顔怖いからやめて。

本気でキモいから。
キモカワではなく、キモチ悪いから。







「後ろって、オバケでも………


イターーーーーーーーっ!!」















「ちゃお~♪やっと見つけた!」







振り返ればヤツがいる。
間違っても十数年前のドラマじゃない。


さっきまで顔を合わせてた、男。


あたしがこれから秘書に付く男。


すなわち、それは社員から社長と呼ばれる男で。




「王子様は姫にリンゴを届けに来ちゃいました!」


「………大丈夫…ですか?」



バカだと思われる、モヤシっこで、ゴボウで、じゃがいもで、牛の男。






< 53 / 93 >

この作品をシェア

pagetop