激甘カレは超セレブ
一点を見つめた香里は、アフターにも関わらずグロスで潤ってる小さめの口をぱくぱくさせて。
「………しゃ……ちょ……」
「あぁん?なんてぇ?香里さんとうとうお魚になっちゃった?こんなとこにシャチなんか居るわけないじゃん。」
アンタ明らかにあたしとは目があってないね。
だってなんかちょっと明後日見てる。
あらやだ本気で大丈夫かしら、このこ。
笑いすぎて脳ミソ溶けたんじゃない?
「違っ……るい、後ろ……」
ちょっと、その顔怖いからやめて。
本気でキモいから。
キモカワではなく、キモチ悪いから。
「後ろって、オバケでも………
イターーーーーーーーっ!!」
「ちゃお~♪やっと見つけた!」
振り返ればヤツがいる。
間違っても十数年前のドラマじゃない。
さっきまで顔を合わせてた、男。
あたしがこれから秘書に付く男。
すなわち、それは社員から社長と呼ばれる男で。
「王子様は姫にリンゴを届けに来ちゃいました!」
「………大丈夫…ですか?」
バカだと思われる、モヤシっこで、ゴボウで、じゃがいもで、牛の男。