水恋
「ていうことで、15分も時間くれたわけだし、色々考えないとだな」
一組の子が言う。
「そうだな。李津、お前、何か案ある?」
「俺にそこで話しふるなよ、克弥」
私は、予算のプリントに目を落とす。
そういえば、このたった入学式と授業初日の二日間で男口調が染み付いてしまっている。
「花火とかは?」
「あぁ、それいいね」
三組の子の「花火」意見は、とりあえず保留。
「まずは、花火。他、何があるかな」
克弥は、イスを後ろに少し倒しながら天井を見つめる。
「15分、経ったので、意見を聞きたいと思います」
トップの人の声が談話室に響く。
案外、15分は早いものだ。