水恋
「仕方がいないです」
「はっ?」
思わず、「はっ?」と言ってしまった私。
何が、仕方がないだ、このノグサレ業者!!
…ていうのは心の中での叫びだけど。
「入学式には、それを着てください。みんなには訳を話せば理解してくれます」
サラっ、と言ってのける業者さん。
「………」
思わず、絶句する私。
無茶ぶりも、大概にしようよ、業者さん。
「しかも、入学式に良い会話のネタのじゃないですか。明日から、高校生頑張ってください」
無責任な発言を堂々と言う業者さん。
「………」
最早、返す言葉もなく呆然と電話を握りしめる私。
いやいやいやいや…あのね…
そういう問題じゃなーーい。おかしい、おかしいから、この業者さん。
「ゴールデンウィーク明けには、女子制服届きますよ。安心してください」
「えっ?」
「それじゃ」
ガチャっ。
ツーツーツーツー。
私の耳に空しく響く電子音。
こんな災難、世の中存在していいはずがない。そうでしょ、神様?