電子恋
それから気にかけてくれる子は猛烈アタックを開始し始めた。

アタシの勘違いかもしれないけど。

みんな平等に好きだった。
でもそんな事言われて、だんだんこっちも気にかけるようになったある日…。

アタシはその人に告白された。

舞い上がったアタシはいいよ、と返事したもののそんな彼氏を人に自慢できるでもなく、チャット仲間にも友達や親友にも何も話さなかった。

話せるわけなかった。

相手はチャット仲間にアタシが知らないうちに関係を言ったのか、いつの間にか余所余所しい雰囲気の時や、その子とアタシが居るとみんな落ちていったりする時があった。

少しずつ、どこか…歯車が噛み合わなくなってきた。


急に現実が見えた。


それからアタシはチャット仲間にメールする回数は減った。
部活が忙しいと、顔を出す回数も減った。

その子にも親に叱られたと嘘を付き、メールもしなくなった。


そして…そうとう、チャット仲間と連絡さえしなくなった。


付き合ったのは3カ月程度。
記念日なんたらなんて覚えてない。

大切な仲間を失ったとか、そんな喪失感や後ろめたさがあり、たまに違う名前でチャットに参加したりした。

でも、もうそこには本アカのアタシの名前を話す人も、元から居たチャット仲間もほとんどいなかった。

そしてそのチャットは何カ月か後に覗くと無くなっていた。


あぁ…。


それがアタシの恋だとするならなんて儚いんだろう。
これが恋愛ならなんてつまらないものなんだろう。

あんなに楽しかった思い出は悲しいものに変換され、今でもチャットというものに手を出したことはない。

それに初めて付き合った回数にもカウントしていない。

簡単に壊れる絆…それがネット。

発展途上のアタシの脳内にインプットされた。
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