電子恋
『今、流行ってますよ!ご存知ないです?アタシもしてますから、是非フォロワー同士になりませうw』

流行りものはなぁ…。
まぁ、この人が言うんだ…とりあえずしてみよう。
どうせすぐ飽きちゃうんだろうなーなんて思いながら。


アタシはそこで恋に落ちるなんて想像もしていなかった。
もはや誰もそんな事思ってないだろう。


とまぁ、こんな経緯でアタシはただのグズの人間になりました。
お父さんお母さんごめんなさい。


実は妹が二人いて、次女は嫁に行ってしまった。
三女は家族公認の彼氏を家に連れてくる“イケイケ”の女子大生だ。

当の本人はと言うと…。
就職をしたのだが、仕事を辞め実家に戻ってきたばかりだった。

相変わらず部屋はオタクで溢れていて、変わったのといえば絵を描くのをアナログからデジタルにして、大人の嗜みとして化粧品は一応そろっていてクローゼットの中のお出かけ用の服が少し増えたぐらいだった。

妹の結婚式に友達の結婚式…あぁ、二児のママもいる。
三次元の時間はどんどん経過していく。
しかし、大好きな二次元は時間なんてつまらない概念はない。
アタシより年上だったキャラ達はいつの間にか年下になっていた。

「どうにかしなさい」

母に一週間に一度は言われるこの言葉。
どうにか…。
そう、どうにか二次元に行けないだろうか。
どうにか…。
グーグル先生で調べてもダメだった。
あぁ、次元の狭間はどこにあるのだろう。

『次元の狭間ってどこ?』

ふと思った時にアタシは呟く。
世界的に有名なサイト、Twitterに向け呟く。

『@sie 西の…ほう?』
『@sie それなんてゲームwww』
『Rt 次元の狭間ってどこ?』

一言呟けば、何人かから返事が来る。

『見つけたらsieまでw』


そう言ってTLから消える。

今日は遅番だ…さぁ出勤しますよ。
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