毒舌メイド 【完】
そんなこと、別に教えても教えなくても、一緒だろ。
俺の部屋に案内してから、俺は一応言っておくことにした。
「部屋に勝手に入るなよ。・・・お、俺の部屋、き、汚いし。」
俺がそう言うと、舞人は悪戯を含んだ微笑みを浮かべた。
「大丈夫。そんなこと、気にしないって。エロ本があっても。」
「違うし!!」
俺はそこで、ふと、ある会話を思い出した。
『大丈夫です。そんなこと気にしません。たとえ、エロ本があっても。』
『・・・・・・・違うし。』
真桜が、俺の所にメイドとして来た日にした会話。
「じゃ、僕は自分の部屋に行ってみるから。」
舞人は、俺に背中を向けて、手を軽く振った。
「あ、あぁ・・・。じゃあな。」
一瞬、横顔が真桜に見えたのは、
笑顔が、真桜に見えてしまったのは、
きっと、気のせいだろう―――・・・。