毒舌メイド 【完】
「・・・悠馬、早いね。」
戸惑ったように、ぎこちなく笑う真桜に、頬が緩む。
「・・・ちょっとね、眼鏡をかけてみた。」
「何でだ?」
俺が聞くと、真桜は言葉を探すように瞳を動かす。
「・・・髪が、短いし。女の子っぽく、見えるように・・・なんだけど・・・。」
「視力は? 悪いのか?」
「・・・ん。ちょっと悪くなった。」
あれ?
髪が短いのに、前より女の子っぽく見える・・・。
「可愛い・・・。」
「・・・悠馬、何言ってんの、朝から。」
真桜は、俺からカバンを奪い取って、外に出た。
「っおい、ちょっ! 俺、行くって! 待て待て待て!!」
「遅い。」
「遅いって・・・って、ちょっ、待てって!」
真桜からカバンを取り返す。
ついでに、真桜のカバンも取る。
真桜が、その俺をジトーッとした目で見る。
「・・・私のカバン。」