毒舌メイド 【完】
「げっ……」
カウンターで繰り広げられる光景に、俺は目を疑う。
「執事さーん。携帯番号を教えてぇー?」
女子の声に、その執事は一瞬眉を寄せる。
「……申し訳ございません。執事がお嬢様と交流を持つのは禁じられています」
勿論、そんなものは無い。
が、デタラメを言ってでも逃げたいらしい。
執事の作法を完璧にこなし、電卓も使わずに一瞬で食事代の合計を言い当てる。
ソイツは、俺のメイドだったはずだけど……
「教えてよぉ~?」
「……これで仕事は終わりました。ここを通してくださいませんか?」