*あおいきといき*
だけど高橋君は
違ったみたいだ。
今だ申し訳なさそうな顔で
こっちを見ている。

なんなんだ…?

「高橋君?
どうかしました…?」


『いや、本当に悪いと思って。なんつーかな…
すげー自分が嫌でしょうがねぇ。』


そう言って彼の柔らかそうな
髪をクシャっとつかんだ。

その顔は本当に自分を許せないのかすごくひどく歪んでいた。

「そんなに自分を責めないで?たかがレポートでしょ。
こんなのいくらだって
書き直し出来るんだからさ?

でも、責任を感じるなら
そんな顔しないで…?
今、高橋君の顔ブサイクすぎて
見るに耐えられないから。」



私は彼を見て自然とそう
言っていた。

何故そう言ったのかは分からない。
普段の私なら
誰がどんな表情をしてたって
何をしてたって気にかける事もしなかったし、ましてや
こんな励ますような事なんか
言う事も無かった。


でも何故だろう…?
高橋君にはあんな顔
して欲しくなかったんだ。

高橋君はあんな顔が
似合わなかった。
彼には暖かい笑顔のが
似合うから。


だからそう言ってた
のかもしれない。


ただそれだけだ…。



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