嗤う布団
○
私は白いシーツを、布団からひっぺがした。
そうしたところで敷き布団を二枚並べ、出来る限り角を折り曲げる。
だいぶボコボコするけど無視をして、シーツをふわりと被せた。
布端を適当に折り込み、丸形に近付けつつ、それらしい形になったところで、中央にシワを作る。
丁寧にシワで線を描いていく。──五芒星を。
陰陽道など全く詳しくもない私でさえ知っている形だから、そこそこの効果が期待出来そうな気もする。
この期待値が、実質効果があると『思い込む』のに一役買ってくれる訳だ。
程々にシワが描き終えたところで、私は少し早めの安堵の息を吐きながら、ゆっくりと身を横たえた。
折角描いた線が台無しにならないよう、動かずに天井を仰ぐ。
心なしか、蠢く気配の恐怖も鈍くなったようで、やはり気のせいだったのだと思い、私は目を閉じた。
布団は結界ではないかもしれないが、思うことで安堵が生まれ、ひいては無闇に恐ろしがることなく寝れるなら、大変に重要性がある。
眠りに落ちながら、私はそう思った。