愛す、ということ



「何で気付けなかったんだろう…。あいつが俺にきっと傍にいてほしいって、どこにも行かないでって。思ってても言えないあいつの強がりなのに…。何で気付けなかったんだ…」



李香は優しいから。
いつもいつも自分は二の次。




「もう悔やんでも李香は戻って来ないんだよな。だから俺はずっと何があっても笑ってるって決めたんだ。」



「あいつの大好きな俺でいれるように…」



優斗と李香の過去は想像より遥かに壮絶だった。



「沙樹菜の事は知ってた。」



「え…?」



「あの屋上で会う前から知ってた。」



「どうして…?」



「李香がな、いっつも沙樹菜の話ししてんの。『とっても笑顔が素敵でね。いい子なんだ。いつか優くんに会わせたいっ』って言ってた。」



「屋上に来た沙樹菜の目みたらすぐに分かったよ。李香が言ってた沙樹菜だ…って。確信はなかったけどそんな気がした。」



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