三度目のキスをしたらサヨナラ
ソウはタバコに火を点けると、大きく煙を吐きながら言った。

「楽しくて忘れてたね、《ゲーム》の続き」

私は、タバコの煙が風に流されてソウの向こう側に消えていくのを、無言で見つめていた。

「沖縄の海じゃないからあまり雰囲気が出ないかも知れないけど……そろそろ、ミナさんの話を聞かせてもらっていい?」

今日はこのまま《ゲーム》に触れずに終わりそうな気がしたのに。
この時はやっぱり来ちゃったか……。

これから、ソウの“攻撃”が始まるんだ。

「プロポーズまでされたんでしょ? それなのに、どうしてソータさんと別れちゃったの?」

再び、ソウの温かい手が私の手を包み込む。

「聞かせて?」

絶対に《ゲーム》を楽しんで目を輝かせていると思ったのに。
見上げると、ソウは穏やかな表情で私を見つめていた。

「……知らないからね、泣いても」

「うん、いいよ」

「……その時は、責任取ってくれる?」

「任せて」

ソウが笑ってそう言うと、ほんの少しだけタバコのにおいがした。


「よくある話」

私は引きつった笑顔でそう呟くと、誰にも話したことのない蒼太との別れについて語り始めた。

「──浮気されたの、蒼太に」

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