三度目のキスをしたらサヨナラ
その時、ソウのジーンズのポケットの中で携帯が鳴った。

私を抱いていたソウの身体が一瞬ビクンと跳ねる。

だけど。
ソウは出ようとしなかった。

「電話……出ないの?」

「うん、いいよ。今はミナさんが一番大事だから」

「そんなこと言って、もし彼女からだったらどうするの?」

──少し間があってから、ソウは答えた。

「後でかけ直すから、いいよ」

苦し紛れのその答えに、私は笑った。

「今、ちょっと迷ったでしょ?」

「うーん、ちょっとだけね」


私を抱き締めるソウの腕に力が加わる。

「ミナさんが元気になるまでは、俺はミナさんのものだから」


ソウの携帯はずいぶん長い間鳴り続けたあとで、プツリと切れてしまった。

「本当によかったの?」

「いいから、今は気にしないで」


そして、私たちの周りにまた静かな時間が流れ始める。

──このまま時間が止まればいいのに。

ソウの胸の中で、私はゆっくりと目を閉じた。
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