三度目のキスをしたらサヨナラ
『ソウ』が『海』に戻るとき
その音で、私とソウの動きは完全に止まってしまった。
そして。
ソウの戸惑った表情を見て、私は全てを察した。
電話の相手は、間違いなく彼女だ──。
「ソウ。携帯、鳴ってるよ?」
ソウが小声で「うん」と呟いてポケットから携帯を取り出すと、厚手のデニム地に塞がれて籠もっていた着信音がいっそう大きくなる。
それはまるで「これ以上ソウに近づくな!」という彼女の叫びのようにも聞こえた。
「ミナちゃんからなんでしょ?」
ソウは携帯のディスプレイを見もせずに、黙って頷いた。
……やっぱり。
電話の相手のこと、ちゃんと分かっているんだ。
「早く出てあげたら?」
私は浮かしていた腰を下ろすと、投げ出していた足を折り畳んでその場に立ち上がった。
一瞬、その高さに軽い眩暈を覚える。
だけど……。
「私はあそこから降りるから」
そういって指差したのは、ここに来たときにソウに手を引かれて上ったドラム缶の階段。
心配そうな顔をして私を見上げるソウを「ほら、早く」と電話に出るよう促すと、私は1人で防波堤の上を歩き始めた。
そして。
ソウの戸惑った表情を見て、私は全てを察した。
電話の相手は、間違いなく彼女だ──。
「ソウ。携帯、鳴ってるよ?」
ソウが小声で「うん」と呟いてポケットから携帯を取り出すと、厚手のデニム地に塞がれて籠もっていた着信音がいっそう大きくなる。
それはまるで「これ以上ソウに近づくな!」という彼女の叫びのようにも聞こえた。
「ミナちゃんからなんでしょ?」
ソウは携帯のディスプレイを見もせずに、黙って頷いた。
……やっぱり。
電話の相手のこと、ちゃんと分かっているんだ。
「早く出てあげたら?」
私は浮かしていた腰を下ろすと、投げ出していた足を折り畳んでその場に立ち上がった。
一瞬、その高さに軽い眩暈を覚える。
だけど……。
「私はあそこから降りるから」
そういって指差したのは、ここに来たときにソウに手を引かれて上ったドラム缶の階段。
心配そうな顔をして私を見上げるソウを「ほら、早く」と電話に出るよう促すと、私は1人で防波堤の上を歩き始めた。