三度目のキスをしたらサヨナラ
そんな彼に見とれていると、ウーさんが瓶ビールを抱えて店内に戻ってきた。
ウーさんと目が合うと、私は無言でウーさんの持っているビールを指差した。
そして、目線だけを、ウーさんから泣いている彼へ移す。
ウーさんはそれで私の言いたいことを察してくれたようで、黙って一度うなずくと、冷蔵庫から冷たいビールとグラスを取り出して、彼の目の前に置いた。
「どうぞ」
うつむいていた彼が顔を上げる。
ウーさんは冷えたグラスにビールを注ぎながら、
「あちらのお客さんからだよ」
と言った。
その言葉で、彼がこちらを向く。
彼は、とてもきれいな顔をしていた。
涙でうるんだその瞳は真っ黒で大きく、
鼻水をすする鼻は赤かったが、その形は高く鼻筋が通っていた。
「あ……あの……」
彼が何か言いたそうにこちらを見る。
私が黙ったまま軽くうなずくと、彼は目をぎゅっとつぶり、下顎を引いて奥歯をぐっとかみ締めた。
大粒の涙が彼の頬を伝う。
「いただきますっ……!」
グラスを目の高さまで掲げ私に頭を下げると、彼はグラスに注がれたビールを一気に飲み干した。
──こうして、私たちは出会った。
ウーさんと目が合うと、私は無言でウーさんの持っているビールを指差した。
そして、目線だけを、ウーさんから泣いている彼へ移す。
ウーさんはそれで私の言いたいことを察してくれたようで、黙って一度うなずくと、冷蔵庫から冷たいビールとグラスを取り出して、彼の目の前に置いた。
「どうぞ」
うつむいていた彼が顔を上げる。
ウーさんは冷えたグラスにビールを注ぎながら、
「あちらのお客さんからだよ」
と言った。
その言葉で、彼がこちらを向く。
彼は、とてもきれいな顔をしていた。
涙でうるんだその瞳は真っ黒で大きく、
鼻水をすする鼻は赤かったが、その形は高く鼻筋が通っていた。
「あ……あの……」
彼が何か言いたそうにこちらを見る。
私が黙ったまま軽くうなずくと、彼は目をぎゅっとつぶり、下顎を引いて奥歯をぐっとかみ締めた。
大粒の涙が彼の頬を伝う。
「いただきますっ……!」
グラスを目の高さまで掲げ私に頭を下げると、彼はグラスに注がれたビールを一気に飲み干した。
──こうして、私たちは出会った。