三度目のキスをしたらサヨナラ
「あ、ちょっと!」

彼が私の腕を掴む。

「なに?」

「えっと……その……すいません」

彼は、慌てて私の腕から手を離し、何やら言いにくそうに口ごもった。

そして、小さく私の顔を指さすと、「輪ゴム」と小声で呟いた。

「あっ……」

自分の後ろ髪に手をやると、確かにそこには、髪を結わえた輪ゴムの感触があった。

ラーメンを食べた後、そのままお店を出てしまったんだ……。

「ありがとう」

両手でそれを外す私を、彼はなんだか申し訳なさそうに見つめていた。

早く帰ってくれればいいのに……。

輪ゴムをつけっぱなしにしていたことを指摘されただけでも恥ずかしいのに、そうやって見られ続けることで、私の緊張度は増す。

そんな状態で慌てて外そうとすればするほど、輪ゴムは髪に絡まってうまく外れなくなっていった。
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