三度目のキスをしたらサヨナラ


そのとき。


「プッ」


彼が、いきなり、吹き出し笑いをした。



そして、そのまま笑いながら、私の方へ近寄ってきた。

「じっとしてて、取ってあげるから」

そう言うと彼は、私の後ろへ回り、輪ゴムと格闘していた私の手を優しく掴んで下に下ろした。

「痛かったら言って」

その声は、まだ少し笑っている。

さっきまで堅苦しい敬語だった彼の口調は、気づけば「タメ語」になっていた。

彼は、私の髪を引っ張らないよう注意を払いながら、徐に輪ゴムを外していった。

「大丈夫? 痛くない?」

「うん……」

「髪、傷つけちゃったらゴメンね」

「うん……」

じっと輪ゴムが外されるのを待ちながら、こんな格好悪い姿を見られた恥ずかしさと男の人に髪を触られる緊張感で、私の顔は次第に赤くなっていった。

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