三度目のキスをしたらサヨナラ
そのソウの台詞に、言葉を失ったのは私の方だった。

一方、一度話し始めたソウは、どんどん饒舌になっていく。

「あのときの『ミナ』は思わず出た俺の本心なんだ」

言葉の合間に少し辛そうに咳を挟みながら。

「俺の失恋の相手は、ミナさんだよ」

ソウは続けた。


「初めて会った日。ウーさんの店で、ミナさんが俺にビールを奢ってくれたじゃない? そのとき、殺風景な店の中で、背筋をしゃんと伸ばして座っているミナさんだけが場違いで、すごく綺麗で……俺はミナさんに目を奪われたんだ。……彼女に振られて、泣いてたっていうのにね」


──信じられない。


ソウは私が一番欲しかった言葉を、いとも簡単に言ってしまった。



「気づかなかったの? 俺はずっと、ずっと、ミナさんが好きだったのに」



< 175 / 226 >

この作品をシェア

pagetop