三度目のキスをしたらサヨナラ
楽しそうに。
なにが『みーつけた』よ。

先にソウを見つけたのは、私。
ソウとすれ違いにならないように必死だったのは、私のほうなのに。


「もう……腹立つ……」

「え? なに?」

腹立たしいのか嬉しいのかよく分からないけれど、涙が止まらなかった。

「あーもうっ、ソウの馬鹿っ!! バカバカっ!!」


ソウはやけに楽しそうに「何回バカっていうの?」って笑った。

そして、ゆっくりと私の手を引き、私を立ち上がらせた。


「ねえ、ソウ、ちゃんと聞いてるの? 私は怒ってるんだからね!」

「うん、聞いてるよー」


ソウは前屈みになって、少し横の角度から私の顔を覗き込むと、そのまま私を抱き寄せた。

「頑張ってくれたんだよね、ミナさんは」

私の耳元で、ソウがはあっと大きな息を吐く。

「ありがとう、俺を見つけてくれて」

私は両手をソウの大きな背中に回して、その胸に顔を埋めた。

懐かしい、ソウのにおいがする。


それだけで十分だった。


「うん……」

私はソウの背中に回した手に、ぎゅっと力を込めた。
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