三度目のキスをしたらサヨナラ
ソウは頭をあげると、私の目を見ながら話を続けた。

「俺、ずっと考えてたんだ。俺が一度はリョーコに愛想を尽かされたのは、俺が受験に対してもリョーコに対しても、中途半端だったからじゃないのか……って」

それは一言一言ゆっくりと、丁寧に。
私の反応を確認しながら。

「俺は、リョーコと俺の間に問題があるとしたら遠距離だけだとばかり思ってたんだ。だから、離れていても大丈夫なんだってことを証明したくて何度も東京まで通って。……でも、俺がこの2年間で本当にしないといけなかったのは、そんなことじゃなくて、まず大学に合格して、リョーコを安心させることだった気がするんだ」

ソウの瞳が、いっそう強い輝きを放つ。

「俺、ミナさんを大事にするために、今度こそ自分にケジメつけたい。だから──」
「分かったよ、ソウ」

その次の言葉は聞かなくても分かった。


「──私、ソウのこと信じて、待つよ」


せっかく会えたのに、また、これから離れ離れになってしまう。

そう思うと胸がギュッと締め付けられて、今にも泣き出してしまいそうだった。


だけど、私にはソウの気持ちがよく分かった。


……そうだね、ソウ。

私が蒼太からただ与えてもらうだけの恋を卒業したかったように、ソウだって、今の自分ではダメだって思ったんだよね。

《ゲーム》のルールを考えたとき、
『俺たちはもっと強くならないといけないんだ』って、
確かにソウはそう言った。

私たちは失恋を乗り越えて、少しだけ、強くなるんだ──。
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