三度目のキスをしたらサヨナラ
「ありがとう」

そんな言葉とはうらはらに、ソウの表情は固いままだった。

「俺、絶対ミナさんを迎えに行くからね。だから……そのときは俺の気持ち、しっかり受け止めてくれる?」

私は黙ったまま、一度大きく頷いた。

「かなり重いかも知れないよ?」

ソウの顔を覗くと、ソウは不安げな表情で私の返事を待っていた。

「大丈夫よ!」

私は笑った。

「だって、ソウは私のことを支えてくれるんでしょ?」

「え……?」

「忘れたの? 漁港で私に言ってくれたじゃない。……それに、もし重くて支えきれないときは、しっかり下敷きになってもらうから。覚悟してね」

その言葉に、強ばっていたソウの表情が柔らかくなっていく。

そして、最後にはいつもの笑顔に戻った。

「任せといて!」



そうして、私たちが再びしっかりと抱き合った瞬間、
ホームにアナウンスが響いた。

《間もなく12番ホームに、のぞみ58号、東京行きが入ります》

私とソウは目を見合わせたままそのアナウンスに耳を傾けた。

アナウンスは更に続く。


《尚、この列車は、東京行き最終列車となりますのでご注意下さい……》


ホームに再び、電子音が鳴り響いた。

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