三度目のキスをしたらサヨナラ
私もソウも、そのアナウンスに顔を強ばらせた。

最終なんて……まだ早すぎる。
ソウと再会して、ほんの15分しか経っていないっていうのに……。

だけど。
ソウはすぐに強ばらせていた表情を、いつもの穏やかな笑みに戻した。

そして、私の肩を抱いていた右手をゆっくりと下ろすと、私の目の前にその掌を上に向けて広げた。

「ミナさん、切符出して?」

「え?」

「来るときに買った切符だよ」

私は言われるままに鞄のポケットからH駅行きの切符を取り出し、ソウの掌の上に置いた。

「ありがとう」

ソウはその切符をぎゅっと掴むと、自分のジャケットのポケットへしまった。

そして代わりに、ポケットから小さな紙切れを取り出した。

「ミナさんは、これ」

「……え?」

ソウは私の手を取り1本1本丁寧に指を開くと、掌の上にその紙切れを静かにのせた。

そしてまた、その紙切れを包むように、私の指を1本ずつゆっくりと折り曲げていく。


「ミナさんは、次の新幹線に乗って東京に帰らないと」


ソウの手が、私の手から離れた。


私の手の中に残ったもの──。

それは、ソウが持っていた東京行きの切符だった。

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