三度目のキスをしたらサヨナラ
無数の通行人の足音が、近づいては遠ざかっていく。

……人混みは嫌い。
1人でいるときより、ずっと、孤独を感じてしまうから。


新しい足音が、またひとつ聞こえてきた。

その足音は、階段を勢いよく下りたところで一旦止まったが、そのあとゆっくりとこちらへ近づいてきた。

そして、私のすぐそばで止まった。


人の気配を感じて、私は姿勢を変えずにゆっくりと目だけを開けた。

目の前に、真新しい黒いスニーカーが見えた。
綺麗なゴールドのライン…


「大丈夫?」


顔を上げるとそこには、彼がいた。

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