三度目のキスをしたらサヨナラ
立ち上がりかけていたウーさんは、私の言葉にその動きを止め、中腰の姿勢のままでこちらを見た。

その目は、驚きで大きく見開かれていた。

「──え?」

「駅で、彼と、キスしたの」

「ミナちゃんが?」

「うん」

「……そうか。いや……驚いたな」

ウーさんはゆっくりと立ち上がりながら、私に聞いた。

「彼を、好きになったってこと?」

私は黙って首を横に振った。

「それどころか、全然ドキドキしなかったんだ。おかしいでしょ? キスしたって言うのにねー」


蒼太からたくさんの愛情をもらって、
それに甘えて、
ただ穏やかにすごしてきたこの6年。

もっとドキドキして、もっと努力していれば、蒼太が私から離れていくことなんてなかったのかな?


私は、長いこと恋をサボっていた。

だからきっと、そのツケが回ってきたんだ……。


「……私、もう恋の仕方なんて忘れちゃったみたい」


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