三度目のキスをしたらサヨナラ
私はグラスの水をじっと見つめながら言った。

「なんだか、水じゃなくて、お酒が飲みたい気分……」

「未成年は駄目!」

……ウーさんは、こういうことにはやたらと厳しい。

今時、20歳になるまでお酒を飲んだことのない人のほうが珍しいと思うんだけど。

「あと1ヶ月我慢しなさい。ミナちゃんの誕生日には、店を貸し切りにして好きなだけ飲ませてやるから!」

生真面目なウーさんの言葉に、思わず笑みがこぼれた。

「で、どうするの?……誕生日のうちに、こっちに帰ってくるんだろ?」

「うん……。まだ決めてないけど、多分ね」

「帰っておいで。ここで朝まで飲めばいいよ。いくらでも付き合ってやるから」

「ありがと、ウーさん」


ウーさんが、その大きな手で私の頭をぽんぽんと二度軽く叩いた。

「大丈夫。いつかまた、恋に落ちる日が来るよ」

「うん……」

「まだ10代なんだろ?焦る必要ないって」

「そうだね……」


もう一度空っぽになった2つのグラスを合わせたところで、店のドアが開いた。

「悪いけど、まだ準備中……」

ウーさんの言葉が途中で止まった。




振り返ると、そこには彼が立っていた。



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