三度目のキスをしたらサヨナラ
「……ゲーム?」

その意味が分からずに、私は眉根を寄せながら聞き返した。

すると彼は、嬉しそうに「そうだよ!」と言って《ゲーム》の説明を始めた。


「失恋の傷を癒す《ゲーム》だよ。あなたは彼を、俺は彼女を忘れるための」

途中でクスリと微笑を挟むと、彼はさらに続けた。

「俺たち、失恋の痛手はかなり大きいでしょ? だけど、昨日俺はあなたの前で素直に泣くことができて、すごく楽になれたんだ」

「うん……」

「キスしたときも、悲しくて仕方ないはずなのに……何故だろう。不思議だけど、楽だったんだ」

「……分かるよ」

今度は私が話を続けた。

「……お互いの悲しさを半分ずつ分け合ったら合計は1になるはずなのに、そんなに辛くなかった気がする……」

「そう!……だから、ね」

私たちは顔を見合わせた。

「一緒にいれば、1人で苦しむより、ずーっと楽に立ち直れそうな気がするんだけど……そうは思わない?」
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