三度目のキスをしたらサヨナラ
「じゃあ、あっちに行こうか」
「……かわいげなくてゴメンね」
「いや、牛丼好きだし、構わないけど。でも、ホントにあなたって不思議な人だね」
そして。
そのままレストランの前を通り過ぎると、彼は再び、何もなかったかのように話題を元に戻した。
「それで、さっきの話の続きなんだけど。まず、ルールを決めないとね」
牛丼屋を目指しながらこんな《ゲーム》の話をするなんて、一体彼はどこまで本気なんだか。
だけど、このリアリティのなさが、何故か私には心地よかった。
……重すぎるのは、勘弁だ。
「ゲームなんだから勝敗は必要だよねー」
楽しそうにそんなことを話す彼の横顔を見ながら、私は考えた。
彼は数日後には地元へ帰っていく人間だ。
そして、その後2度と会うことはないだろう。
そんな相手だったら、ためらうことなく本音をさらけ出せるかも知れない。
蒼太のことを忘れるために彼を利用するみたいで少し気が引けたけど、でも、この苦しい失恋の傷を本当に癒すことができるのなら……
──まぁ、いいか。
そして私は口を開いた。
「そうだね、楽しいゲームにしよう」
「……かわいげなくてゴメンね」
「いや、牛丼好きだし、構わないけど。でも、ホントにあなたって不思議な人だね」
そして。
そのままレストランの前を通り過ぎると、彼は再び、何もなかったかのように話題を元に戻した。
「それで、さっきの話の続きなんだけど。まず、ルールを決めないとね」
牛丼屋を目指しながらこんな《ゲーム》の話をするなんて、一体彼はどこまで本気なんだか。
だけど、このリアリティのなさが、何故か私には心地よかった。
……重すぎるのは、勘弁だ。
「ゲームなんだから勝敗は必要だよねー」
楽しそうにそんなことを話す彼の横顔を見ながら、私は考えた。
彼は数日後には地元へ帰っていく人間だ。
そして、その後2度と会うことはないだろう。
そんな相手だったら、ためらうことなく本音をさらけ出せるかも知れない。
蒼太のことを忘れるために彼を利用するみたいで少し気が引けたけど、でも、この苦しい失恋の傷を本当に癒すことができるのなら……
──まぁ、いいか。
そして私は口を開いた。
「そうだね、楽しいゲームにしよう」