三度目のキスをしたらサヨナラ
そして、最後のルールを決めたのは彼。

「三度目のキスをしたら、最後は笑って別れよう」

最後は笑って……。
それは、彼が昨日も口にした言葉だった。

「きっとその時には、勝っても負けても、気持ちは楽になっていると思うからね」

「賛成」

私も同意する。

「そして勝者には幸せな未来が待っている、っていうこと?」

「その通り!」

彼はひとつ大きな背伸びをした。

「よしっ、ルールはこんなところかな」


気付けば店内は客が増え、ほぼ満席になっている。

そろそろ出ないと。
ここは決して長居をするような場所ではない。

彼の丼をのぞくといつの間にか空っぽになっていて、私は残っていた牛丼を慌ててかけこんだ。

彼は「そんなに急がなくていいのに」と笑った。

そして、改まって

「ねえ、そろそろ名前を聞いてもいい?」

と言った。
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