三度目のキスをしたらサヨナラ
信号が青に変わると、信号待ちをしていた歩行者は交差点に鳴り響く耳障りなメロディに誘われていっせいに歩き始めた。
「じゃあ、私も行くね」
「……うん」
さっきから「うん」しか言わないソウ。
気になるけれど、だからといってかける言葉が見つからなくて。
私は後ろ髪を引かれながら、ソウに背中を向けて横断歩道へと足を踏み出した。
そして、私が数歩歩いたところで、背後からソウの声がした。
「待って!」
その声と同時に、私はソウに片手を掴まれていた。
急に強い力で引きとめられたせいで、前へ進もうとしていた足がもつれる。
バランスを崩しそうになりながら後ろを振り返ると、そこには今にも泣き出しそうなソウの顔があった。
「……ソウ?」
私の手を掴むソウの力がさらに強くなる。
「ごめん。……信号がもう一度青に変わるまでの間でいいから、一緒にいて?」
目を細めながら、周りの騒音にかき消されそうなか細い声で、ソウは呟いた。
「なんだか、1人になるのが嫌なんだ……」
それは、いままで一度も感じたことのない不思議な感覚だった。
目の前にいるソウは私よりも大きくて、手を掴んでいる力も強くて、ほんの少しだけど年上で、甘え上手だけどしっかり者で……。
そんなソウが、不安げな子供に見えた。
側にいて、「大丈夫だよ」って抱きしめてあげたくなるような……
私はソウの方へ向き直った。
「いいよ、次の青信号まで」
そう言うと、ゆっくりとソウの隣に並び、青点滅を始めた信号機に目をやる。
私はソウに手を握られたまま、信号機を見つめていた。
──ずっと、じっと。
信号が赤に変わるまで。
「じゃあ、私も行くね」
「……うん」
さっきから「うん」しか言わないソウ。
気になるけれど、だからといってかける言葉が見つからなくて。
私は後ろ髪を引かれながら、ソウに背中を向けて横断歩道へと足を踏み出した。
そして、私が数歩歩いたところで、背後からソウの声がした。
「待って!」
その声と同時に、私はソウに片手を掴まれていた。
急に強い力で引きとめられたせいで、前へ進もうとしていた足がもつれる。
バランスを崩しそうになりながら後ろを振り返ると、そこには今にも泣き出しそうなソウの顔があった。
「……ソウ?」
私の手を掴むソウの力がさらに強くなる。
「ごめん。……信号がもう一度青に変わるまでの間でいいから、一緒にいて?」
目を細めながら、周りの騒音にかき消されそうなか細い声で、ソウは呟いた。
「なんだか、1人になるのが嫌なんだ……」
それは、いままで一度も感じたことのない不思議な感覚だった。
目の前にいるソウは私よりも大きくて、手を掴んでいる力も強くて、ほんの少しだけど年上で、甘え上手だけどしっかり者で……。
そんなソウが、不安げな子供に見えた。
側にいて、「大丈夫だよ」って抱きしめてあげたくなるような……
私はソウの方へ向き直った。
「いいよ、次の青信号まで」
そう言うと、ゆっくりとソウの隣に並び、青点滅を始めた信号機に目をやる。
私はソウに手を握られたまま、信号機を見つめていた。
──ずっと、じっと。
信号が赤に変わるまで。