三度目のキスをしたらサヨナラ
私は、反射的にその手をソウから離しながら、
「やめてよね。私、彼女の代わりにはならないから……」
そんな言葉を口にした。
駅ビルの鮮やかなネオンに照らされてソウにはばれていないだろうけど、今、私の顔はどんな派手な看板よりも赤く染まっているはずだ。
「うん、そうだよね……。ごめん」
そんなソウの返事も上の空。
私は、ソウと並んで立っているという、たったそれだけのことが落ち着かなくて、目の前を走る車やビルへ次々と視線を移した。
その時、私たちの頭上に再び耳障りな電子音のメロディが降り注いだ。
私とソウはほぼ同時に、青に変わった信号へと目を移した。
──助かった。
もう、こうしてソウの隣にいるのは限界だった。
「じゃあ私、本当に行くね」
私は真正面を見据えたまま、顎だけをわずかにソウのほうへ向けた。
それが、私に出来る精一杯の挨拶だった。
「うん、そうだね。……ミナさん、明日の予定は?」
「夕方からバイトだけど?」
「だったら、それまで……レンタカー借りるから、どこか行かない?」
「いいけど、どこへ?」
「明日までに考えててよ、ミナさんの思い出の場所」
話をしているうちに、信号はあっという間に青点滅を始めた。
「ほら、信号が変わるからもう行って! 俺、明日10時にここで待ってるから」
そう言ってソウは優しく私の背中を押し出す。
「……じゃあ、また明日ね」
「うん、ミナさん、ありがとう」
横断歩道を早足で歩いていると、後ろから声が聞こえた。
「明日は俺が反撃するからね!」
振り返ると、ソウが笑いながら、両手を大きく広げて『バイバイ』をしていた。
……こんなところで、恥ずかしいって。
私は苦笑いをしながら自分の胸の前で小さく手を振り返すと、
今度こそ本当に、横断歩道を渡りきった。
「やめてよね。私、彼女の代わりにはならないから……」
そんな言葉を口にした。
駅ビルの鮮やかなネオンに照らされてソウにはばれていないだろうけど、今、私の顔はどんな派手な看板よりも赤く染まっているはずだ。
「うん、そうだよね……。ごめん」
そんなソウの返事も上の空。
私は、ソウと並んで立っているという、たったそれだけのことが落ち着かなくて、目の前を走る車やビルへ次々と視線を移した。
その時、私たちの頭上に再び耳障りな電子音のメロディが降り注いだ。
私とソウはほぼ同時に、青に変わった信号へと目を移した。
──助かった。
もう、こうしてソウの隣にいるのは限界だった。
「じゃあ私、本当に行くね」
私は真正面を見据えたまま、顎だけをわずかにソウのほうへ向けた。
それが、私に出来る精一杯の挨拶だった。
「うん、そうだね。……ミナさん、明日の予定は?」
「夕方からバイトだけど?」
「だったら、それまで……レンタカー借りるから、どこか行かない?」
「いいけど、どこへ?」
「明日までに考えててよ、ミナさんの思い出の場所」
話をしているうちに、信号はあっという間に青点滅を始めた。
「ほら、信号が変わるからもう行って! 俺、明日10時にここで待ってるから」
そう言ってソウは優しく私の背中を押し出す。
「……じゃあ、また明日ね」
「うん、ミナさん、ありがとう」
横断歩道を早足で歩いていると、後ろから声が聞こえた。
「明日は俺が反撃するからね!」
振り返ると、ソウが笑いながら、両手を大きく広げて『バイバイ』をしていた。
……こんなところで、恥ずかしいって。
私は苦笑いをしながら自分の胸の前で小さく手を振り返すと、
今度こそ本当に、横断歩道を渡りきった。