三度目のキスをしたらサヨナラ
漁港で恋は芽生えるか?
【3日目・2月17日】
──翌朝。
「久しぶりだね、香水なんて」
洗面所で身支度をしていると、洗面台の三面鏡にパジャマ姿の多華子が映った。
「いい香り……」
多華子は少し寒そうな様子で、つけたての香水が広がる洗面所へ足を踏み入れた。
始まりは勢いよくはじけるシトラス系のトップノート。
それが次第に、少し背伸びをした大人っぽいフローラル系の香りに変わり、柔らかくて甘い残り香がいつまでも続く。
私が何年も愛用しているこの香水をつけるのを、多華子はとても気に入ってくれていた。
一方、多華子の好みは高校の頃から変わらず、みずみずしい柑橘系の香り。
それもまた、いつも元気いっぱいで朗らかな多華子によく似合っていた。
「今からお出かけ?」
「うん。デート」
「えぇっ!?」
「なあに? 私がデートしたらマズいの?」
多華子が慌てて首を横に振った。
「ううん! ただ、そうなんだぁって、驚いただけ」
私たちは鏡越しに目を見合わせて笑った。
こんな風に穏やかに多華子と話をするのは、本当に久しぶりだ。
──翌朝。
「久しぶりだね、香水なんて」
洗面所で身支度をしていると、洗面台の三面鏡にパジャマ姿の多華子が映った。
「いい香り……」
多華子は少し寒そうな様子で、つけたての香水が広がる洗面所へ足を踏み入れた。
始まりは勢いよくはじけるシトラス系のトップノート。
それが次第に、少し背伸びをした大人っぽいフローラル系の香りに変わり、柔らかくて甘い残り香がいつまでも続く。
私が何年も愛用しているこの香水をつけるのを、多華子はとても気に入ってくれていた。
一方、多華子の好みは高校の頃から変わらず、みずみずしい柑橘系の香り。
それもまた、いつも元気いっぱいで朗らかな多華子によく似合っていた。
「今からお出かけ?」
「うん。デート」
「えぇっ!?」
「なあに? 私がデートしたらマズいの?」
多華子が慌てて首を横に振った。
「ううん! ただ、そうなんだぁって、驚いただけ」
私たちは鏡越しに目を見合わせて笑った。
こんな風に穏やかに多華子と話をするのは、本当に久しぶりだ。