三度目のキスをしたらサヨナラ
多華子に見送られながら少し早めに家を出たせいで、私は待ち合わせ時間より30分も早く駅に着いてしまった。
駅構内を早足で通り抜けて外に出ると、目の前はロータリー。
まだソウはいないだろうと思いながらも、私は立ち止まって辺りをぐるっと見回した。
すると、タクシー乗り場の脇にある送迎車用の待機スペースに、真新しいコンパクトカーにもたれかかってタバコを咥えるソウの姿があった。
ソウは咥えていたタバコを右手で深めに挟むと、ゆっくりと口唇から放した。
次に、その手をだらんと下へさげ、左下方を向いて細い煙を吐き出す。
少し渋い顔をしながら、皺のよった眉間をタバコを持つ手の親指で掻く姿は、ずいぶん大人びて見えた。
──ソウって、タバコ吸うんだ。
私は、なんとなく近寄りがたいその雰囲気を壊したくて、わざと足音を立ててソウに近づいた。
「あっ!」
ソウは、私の足音に気づくと、まだ吸いかけのタバコの火を慌てて消した。
そして、
「おはよう、ミナさん。早かったね」
そう言って私に見せたのは、いつもの無邪気な笑顔。
一瞬でパッと切り替わったソウの雰囲気に、私は躊躇した。
「おはよう。……って、ソウの方が早いじゃない」
「俺は昨日の夜から楽しみにしてたからね。早くミナさんに会いたくて、10時まで待てなくて」
「え?」
ドキッと、した。
ソウは、どうしてこういうことを平気な顔で言うの……。
駅構内を早足で通り抜けて外に出ると、目の前はロータリー。
まだソウはいないだろうと思いながらも、私は立ち止まって辺りをぐるっと見回した。
すると、タクシー乗り場の脇にある送迎車用の待機スペースに、真新しいコンパクトカーにもたれかかってタバコを咥えるソウの姿があった。
ソウは咥えていたタバコを右手で深めに挟むと、ゆっくりと口唇から放した。
次に、その手をだらんと下へさげ、左下方を向いて細い煙を吐き出す。
少し渋い顔をしながら、皺のよった眉間をタバコを持つ手の親指で掻く姿は、ずいぶん大人びて見えた。
──ソウって、タバコ吸うんだ。
私は、なんとなく近寄りがたいその雰囲気を壊したくて、わざと足音を立ててソウに近づいた。
「あっ!」
ソウは、私の足音に気づくと、まだ吸いかけのタバコの火を慌てて消した。
そして、
「おはよう、ミナさん。早かったね」
そう言って私に見せたのは、いつもの無邪気な笑顔。
一瞬でパッと切り替わったソウの雰囲気に、私は躊躇した。
「おはよう。……って、ソウの方が早いじゃない」
「俺は昨日の夜から楽しみにしてたからね。早くミナさんに会いたくて、10時まで待てなくて」
「え?」
ドキッと、した。
ソウは、どうしてこういうことを平気な顔で言うの……。