三度目のキスをしたらサヨナラ
だけど、次にソウの口から出たのはこんな言葉だった。

「だって今日は俺が攻撃する番だからね。考えただけでワクワクするよ」

「……」

そうだよね。
これは≪ゲーム≫だもの。

他に何の理由があるって言うの……。

不覚にも照れてしまった自分が悔しくて、私はソウに隠れてはぁっとため息をついた。


「ミナさん、どうぞ」

ソウが助手席のドアを開けると、車内から真新しい皮革と柔らかいカーコロンの混ざった匂いが飛び出した。

備え付けの灰皿には大きく「禁煙車」のシールが貼られている。

「……ソウってタバコ吸うんだね」

「うん……嫌?」

「別に。ただ、意外だなと思って。だってソウって人畜無害なイメージだから」

「何それ、俺ってそんなにいい人じゃないよ?」

そんなことを爽やかな笑顔で言われても、説得力ないんだけど。


私が助手席に座るのを見届けると、ソウは助手席のドアを閉めて運転席へ戻った。

「じゃぁ、出発!」

静かなエンジン音とともに、オーディオから勢いよく音楽が流れる。

それは、テレビで何度か耳にしたことがある、テンポの速い最近のヒット曲だ。

「レンタカーのついでに借りてきたんだけど、こんな曲でよかった?」

「うん。何でも」

「よかった。俺は洋楽しか聴かないから分からなくて。でもたまにはこういうのもいいね」
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