三度目のキスをしたらサヨナラ
海と言ったら──?


青い空に、澄み渡った青い海。

その水平線からもくもくと立ちのぼるのは、白い入道雲。

太陽の光を受けて、寄せては返す波の動きにあわせてキラキラ輝く水面。

一定のリズムで刻み続けられる波の音。


──そんな海岸の光景を思い浮かべるものじゃない?


なのに、漁港って?

私の頭の中のイメージは、静かな波の音を奏でる海岸から、ポン、ポン、ポンポン、と音を立てながら沖へ出て行く漁船へと一転した。




「あーあ、釣竿も欲しかったなぁ」

「この寒いのに、釣り!?」

「この時期だったらやっぱりメバルだよね?」

そんなことを私に聞かれても、知らないって。

私が「魚釣りなんて出来ないからね!」と言うと、ソウは少し残念そうな顔をした。

「じゃあ、釣りはまた今度ね」

今度なんて、あるわけないのに……。


私はボソッと呟いた。

「……何か違う気がするんだけど」

でも、嫌じゃない。
それがまた不思議だった。
< 89 / 226 >

この作品をシェア

pagetop