三度目のキスをしたらサヨナラ
私は辺りをぐるっと見回した。
倉庫の目の前は船着場になっていて、ボート型の小型漁船が並んで停泊していた。
穏やかな波の揺れにあわせて、船も静かに上下する。
そのたびに、キイキイ、と船の軋む音がした。
その先は行き止まりで、そこから右方、沖へ向かって防波堤が真っ直ぐに伸びている。
防波堤の突端には白い灯台があり、その下では先客の釣り人達がじっと海を見つめていた。
「あの灯台まで行ってみようよ」
ソウが灯台を指差したその時。
背後で、出航の準備をしていた漁船のエンジン音が鳴り響いた。
「キャッ!」
私はその音に驚いて、思わずソウの腕を掴んだ。
漁船はポン、ポン、ポンという軽くリズミカルな音をたてるものだと思っていたのに……。
目の前の漁船は、車やバイクと同じようなけたたましい音をあげて、その船体を小刻みに震動させていた。
そして、ゆっくりと動き始めた漁船は、緩やかな弧を描いた後、スピードをあげて沖へと出て行った。
「いってらっしゃーい」
隣ではソウが手を振って船を見送っていた。
私は、船が通ったあとに残された白い泡が幾度かの波で消えてしまうまで、海をじっと見つめていた。
──ここは、ゆったりとした、穏やかな時間が流れている。
綺麗な砂浜ではないけれど、
ソウがこの場所を好きな理由がなんとなく分かる気がした。
倉庫の目の前は船着場になっていて、ボート型の小型漁船が並んで停泊していた。
穏やかな波の揺れにあわせて、船も静かに上下する。
そのたびに、キイキイ、と船の軋む音がした。
その先は行き止まりで、そこから右方、沖へ向かって防波堤が真っ直ぐに伸びている。
防波堤の突端には白い灯台があり、その下では先客の釣り人達がじっと海を見つめていた。
「あの灯台まで行ってみようよ」
ソウが灯台を指差したその時。
背後で、出航の準備をしていた漁船のエンジン音が鳴り響いた。
「キャッ!」
私はその音に驚いて、思わずソウの腕を掴んだ。
漁船はポン、ポン、ポンという軽くリズミカルな音をたてるものだと思っていたのに……。
目の前の漁船は、車やバイクと同じようなけたたましい音をあげて、その船体を小刻みに震動させていた。
そして、ゆっくりと動き始めた漁船は、緩やかな弧を描いた後、スピードをあげて沖へと出て行った。
「いってらっしゃーい」
隣ではソウが手を振って船を見送っていた。
私は、船が通ったあとに残された白い泡が幾度かの波で消えてしまうまで、海をじっと見つめていた。
──ここは、ゆったりとした、穏やかな時間が流れている。
綺麗な砂浜ではないけれど、
ソウがこの場所を好きな理由がなんとなく分かる気がした。