三度目のキスをしたらサヨナラ
「あっ……」

しばらく海を眺めたあとで、私はソウの腕を掴んだままだったことに気が付いた。

「ごめん! 邪魔だったでしょ」

私が慌てて手を離そうとすると、

「ううん。……いいよ、このままで」

ソウはもう一方の腕を伸ばして、離れようとする私の手を引き止めた。

「風が強いから、ミナさんが吹き飛ばされないように」

そして、私の手をしっかりと握り直しながら言った。

「こうしてるほうが安心なんだけど……イヤ?」

「イヤじゃないけど……」

イヤじゃないけど、
またソウのペースにはまっていくのは不本意だ。

だけどソウは、繋いだ手を私の目の前まで掲げて

「だったらこのままでいいよね」

「……」

「ねっ?」

そんな風に笑顔を添えて念押しされたら、拒めないじゃない……。

暫く私の返事を待っていたソウは、勝手に私の沈黙を「YES」と解釈したようで、

「さあ、行ってみようー」

と、繋いだ手を大きく振りながら元気よく歩き始めた。
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