三度目のキスをしたらサヨナラ
灯台へと伸びる防波堤は2段構造で、
外海に接する面は私たちが立っている場所よりも1段高くなっていた。

1段といってもそれはちょうど私の目線ほどの高さで、1メートル40センチはありそうだ。

だけど、背の高いソウにとってはこの程度の高さはなんの問題もないようで、横目に海を眺めながら
「綺麗だよねー」
なんて1人で呟いている。

私は背伸びをしないと何も見えないんだけどね……。


防波堤の真ん中あたりまで歩いたところで、ソウが足を止めた。

目の前には、潮風にさらされ続けてすっかり錆び付いた自転車が投げ出されていた。

そしてその横には、大小のドラム缶を適当に並べて作られた簡単な階段。


……イヤな予感がした。


すると、ソウは立ち止まって

「ここから上って、海を覗いてみない?」

と、予想通りの言葉を爽やかな笑顔で言った。

「だってミナさん、下からだとよく見えないでしょ」

……気がついてたんだ。

だけど、私はあまり高いところが好きじゃない。
しかもこんな不安定なドラム缶に上るなんて、考えただけで足がすくんだ。

私が「無理!」と首を横に振りながら後ずさりすると、ソウは繋いでいる手に力を入れて私を自分の方へ引き寄せた。

「大丈夫だって」

そして、やっぱり強引に、ドラム缶に上り始めてしまった。
< 96 / 226 >

この作品をシェア

pagetop