三度目のキスをしたらサヨナラ
2つ折りの携帯を開くと、待ち受け画面には女の子の写真。

写真の彼女はショートカットの似合う、目鼻立ちのはっきりした美人だった。

キラキラ輝くその瞳は私の目をしっかり見据えて離さず、自信たっぷりに笑っている。

また、目元にある泣きぼくろが、彼女の可愛さに色気をプラスして、その表情をいっそう魅力的なものにしていた。

──意外だった。

ソウの大事な“ミナちゃん”は、もっとフワフワした感じの、かわいい子だと思っていたのに。

彼女の快活な笑顔からは、ソウを恋しがって涙を流す姿は想像できなかった。

だけど。

私はソウと写真の彼女を交互に見比べた。

外見が整っているだけではなく、明るく華やかな雰囲気を兼ね備えた2人は、並んで立つだけで絵になる。

なんてお似合いなんだろう……。
思わずため息が漏れた。

私は静かに携帯を閉じてソウに返した。

「綺麗な人だね」

ソウは小さくうん、と言って携帯を受け取った。

そして、海を見ながら、上体を後ろについた手で支えて言った。

「もう忘れないといけないんだけどね」

「……そんなに簡単に忘れられる?」

「うーん。どうなんだろう。今は『ああすればよかった』とか『こうすればよかった』とか、いろんなことを思い出しては後悔するばかりで……」

ソウは空を見上げた。

「忘れようと思っているうちは、忘れられないのかなぁ」
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