移り変わる季節とともに
「すっごーい!!」

私は思わず叫んでしまった。

だって草木の壁(通ってみたら壁っていうよりトンネルだったけど)を抜けると目の前に広大な海が広がっていた。

そしてシーズン中なのにここの海には人が誰もいなかった。

奏が『俺の海』っていったのに納得が出来た。


「あーおーいー!!」

声のするほうを見ると奏はいつのまにか海の浅瀬にいる。

そして1人ではしゃいじゃってる。

私は砂浜に座って海で遊んでいる奏を見ていた。

...ほんとガキみたいだなぁ


「葵も入ろーよー!」

「いーやーだー!!
 海は見るのが好きなの!」

そう返すと奏はバシャバシャと音を立てながら海から出てきた。

服のまま入っちゃったからズボンが少しと頭が濡れてる。


「俺も海は見るのが好きなの。」

私の隣に座ってじっと海を見る。

奏の髪から海水が私の手の甲に落ちていく。

私はバックからタオルを取り出して奏の頭にのせた。


「ありがと。」

奏はニシャって笑ってタオルで髪をふく。


「波の音って聞いてると落ち着かない?
 なんか海からの贈り物って気がするんだぁ...」

なんか私思ったこと口にしただけだけどなんかすっごく恥かしい。

言ったあとに後悔しても遅いけどさ。


「そうだなー。」

奏から返ってきた言葉は私の気持ちに同調してくれているのが一瞬で分かった。

だってすごく穏やかな口調で,綺麗な表情で海を眺めていたから。


それからしばらく私たちは海を眺めていた。

いや波の音を聞いてたんだ...

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