牙龍 私を助けた不良 上
プロローグ
求めるばかりだった私。
与えられるばかりだった私。
壊してばかりだった、私。
きっと報いなんだと思った。おかしくて、涙も出ない。狂ったように口が緩むのを止められなかった。
もう、疲れたから眠りたい。
太陽の光は月の光より眩しい。
明るい世界は私を拒絶する。
また、私は守れなかったんだね。大切な人を、大切な仲間を、大切な居場所を。
助けるって約束したのに。
守るって約束したのに。
狂ったように緩む口。それと共に緩む頬を冷たい雫が伝っている。とうとう、私はイカれたみたいだ。
止まらない赤い花弁が舞う夢。
意志のように燃え盛る炎。
私を包んでくれてるはずの灰。
狂った私を嘲笑うような死音。
私は、あの日。
彼の十字架を背負った。
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