牙龍 私を助けた不良 上
木藤は目の前にいる私に、送ると言った。どうやら、帰る時間になったらしい。
「また、明日放課後に」
「「またね〜」」
「明日も待っとるで〜」
幹部の面子に見送られ、木藤と部屋を出た。そのまま、倉庫の外に行くと緋色の車体に、銀の龍が描かれたバイクが停められていた。
一つに結い上げていた髪をほどくと、ミライを鞄の中に入れて背負う。まだ、少し赤色の混じる茶髪が風で揺れる。
ひょいっとバイクに乗せられて、黒いメットを被せられる。
木藤が乗ると、腕を回してギュッと抱き付く。それを合図に、バイクが走り出した。
初夏の夜風が頬を撫でていく中、目を閉じて木藤のあったかい背中に引っ付く。