牙龍 私を助けた不良 上
私が抱えているモノは、言い出したらきりがない。それくらい、あるんだ。
三年前の誓いも。
桃華が眠ってることも。
アイツが死んだことも。
私を苦しめるものも。
──私が戦いを止めたことも。
誰にも言わない。一人で背負っていくと決めたから。──"─"は簡単に壊れるものだと知ったから。
「さぁ、何だろうな」
「・・・・・」
わざと茶化してみると、木藤は黙り込む。・・・それが、正解だと思うよ。
「深入りしない方がいい」
「・・・・・」
「あまり、私には関わらないで」
切り捨てるように冷たく言うと、何かを感じ取ったらしい木藤はまた何も言わなかった。私は、そんな木藤に背を向けて再び歩き出した。
初夏の満月が美しく、輝いていた。まるで、何かを照らすように。