牙龍 私を助けた不良 上
目を覚ます気配はない。何か冷たいものがあれば、冷やしてあげられるんだけどと思っていると。
「あれ、どないしたん?」
タイミングがいいのか、暁が水滴の着いたペットボトルを持って帰って来た。
「暁、それちょうだい」
「どーぞ、って勇人はまたあれか」
暁が視線をやりながら聞くと、木藤はあぁと頷いた。それを横目に、貰ったペットボトルを勇人の額に当てる。
苦しそうな表情が少し緩んだ。それを見て、ホッと息を吐くと勇人が目を覚ました。