牙龍 私を助けた不良 上
どかっ・・・!!
「ぐふっ・・・」
当たってしまったボールは弾きかえり志貴の手の中へ。下っぱのおハゲさんはお腹を押さえて踞(ウズクマ)った。
あ、手加減してない・・・。
「い、痛いです・・・っ」
「ごめんなさい・・・」
そう謝ると、再びボールが飛んできた。今度は双子からで、悪びれもない様子に。
あぁ、海が空が青いなぁ・・・。狩ってやる、ふざけるな──!!!
「ちょっ、痛いです!!」
「うっ。死、死ぬ──!!」
「落ち着いて下さっ!?」
志貴と双子の笑み、下っぱの叫び声、大雅からの制止の声、木藤の呆れた声。
それを聞きながらボールを投げていた。ただ、怒ってたからじゃなくて、何だか楽しかった気がする。
柄にもなくはしゃいだ気がする。
罪を、忘れられていた気がする。