牙龍 私を助けた不良 上
ブラックロザリオ。クロスの部分には蒼白い石が埋められている。光り輝くそれは、アイツからの最初で最後のプレゼント。
『凜華、今日は何の日?』
『・・・何かあったか?』
『ったく、自分の誕生日でしょうが。ほれ、プレゼント』
『あ、ありがと・・・』
受け取った少し長細い白の箱には、このブラックロザリオが入っていた。いかにも、高価そうなそれ。
『・・・・・』
『ん?嬉しくないのか?』
『高いだろ、これ』
素直に受け取らない私を見て、頭をクシャッとされる。それは、アイツなりの表現で。
『大事にしろよ♪』
そう言って、上機嫌に笑いネックレスを着けてくれた。家族以外の男の人から、初めて貰った誕生日プレゼントでもあった。
大事なブラックロザリオのネックレスは、今では私が犯した大罪を忘れないためのものになっている。
今の私を見たら、アイツは何て言うだろうか。何て顔をするだろうか。
今でも私を、恨んでるだろうか。優しいヤツだから、私なんかを心配してくれてるのかな・・・?