牙龍 私を助けた不良 上
『はいはい』
落ちないように抱き締めてくれる。その腕は、意外に逞しい。
アイツに抱き締められたのは初めてで、何だか心臓が高鳴った。
『いやー、珍しいねぇ』
『何が?』
『凜華が俺にデレるなんてよ〜』
何だか嬉しそうな彼は、落ちないように必死な私を見てニコニコ。
『だって、落ちたら困る』
『そうか、そうか』
『そうだ』
『可愛いのな、凜華』
・・・・ボンッ。
甘い声に、顔が火をつけたように赤くなる。見られたくなくて、彼の肩に顔を埋めた。