牙龍 私を助けた不良 上




『はいはい』



落ちないように抱き締めてくれる。その腕は、意外に逞しい。


アイツに抱き締められたのは初めてで、何だか心臓が高鳴った。



『いやー、珍しいねぇ』


『何が?』


『凜華が俺にデレるなんてよ〜』



何だか嬉しそうな彼は、落ちないように必死な私を見てニコニコ。



『だって、落ちたら困る』


『そうか、そうか』


『そうだ』


『可愛いのな、凜華』




・・・・ボンッ。


甘い声に、顔が火をつけたように赤くなる。見られたくなくて、彼の肩に顔を埋めた。




< 115 / 476 >

この作品をシェア

pagetop