牙龍 私を助けた不良 上




* * * * *


『待て。落ち着け!!』


『離せ!!私の失態がこんなくだらない事態を招いた。私がけりをつける!!』



ただ、焦っていた。


桃華も、戒希も帰って来るのが遅くて・・・クリスマスだって、そわそわしていた奴も不安そうで。


連絡があったと思えば、戒希が脇腹を数回刺されて病院で治療中だと言われた。

犯人は不明。


でも、刺された現場には雷のマークがあったらしくて。すぐに、誰がやったか分かった。


そして、桃華が連れ去られたということも分かった。戒希が気を失う寸前に、そう言ったらしい。


相手は暴走族『暴牙』で、以前潰しそこねた族。総長が不在で、解散までには至らなかった。


私の失態に過ぎない。事件は、私がきっかけだと焦っていた。


仲間や、アイツの止める声すら振り払って愛車(バイク)に乗ると、単身で暴牙の倉庫に向かった。





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