牙龍 私を助けた不良 上
分かってた。
分かってた筈だった。私は、危険と隣り合わせの世界を生きているんだってことくらい。
誰が、いつ、何処で。
狙われたり、殴られたり、蹴られたり、傷付けられたり、大怪我したりするか分からない。
だけど──。
14才だった私が、そんなひなたの姿を目の当たりにして、平気で居られる筈が無かった。
許さない。許さない。許さない!!!
『・・・殺してやる』
ふらりと立ち上がって、そう呟いた気がする。
そして、私は本当の意味で『緋龍』になったんだ。
血を纏い、血濡れた手をふるい、憎悪と狂気に満ちた瞳で暴れる『緋色の龍』に・・・。
* * * * *