牙龍 私を助けた不良 上
そんなことを思っていると、パソコンのキーボードを打つ音が止まった。
安堵したのか疲れたのかは分からないが、志貴は深く息を吐いてパソコンの画面を俺に見せた。
画面は何かのファイルを開いていて、映像が流れていた。
真っ黒い景色、微かに照らされているいくつかの人影と、画面に飛んでくる水滴。
赤い水滴──血だ。
その映像を見ていると、ある一つの影が多くの影を倒していく。
無駄な動きや言葉が一つも無く、強い。まるであの人──緋龍のような強さ。
ちらちらと光が人影に当たる。トレードマークだったブラックロザリオが揺れていて、間違いなく緋龍だろう。
「これは・・・?」
「緋龍がテリトリーにしていた地域の防犯カメラ映像です」
「ハッキングしたのか」
「えぇ、凜華さんと緋龍について少し気になることがありましたので」