牙龍 私を助けた不良 上




室内に重い空気流れる。ただ、テレビが場違いに軽快な音楽を奏でている。


戸惑いは隠せない。だが、どこかあっさり受け入れている自分がいる。


正直言って、凜華が緋龍じゃないか疑ったりしていたからだと思う。



「確信はあるんか?」


「確信、では無いですが。彼女に出会ってすぐに見た光景を覚えてますか?」


「なんの?」



暁が不思議そうに問い掛けると、勇人があ、と声を出した。



「あれか?アイツがやべぇ殺気出した時」



それは出会ってすぐに見た光景だった。


大勢の女に囲まれた凜華が、とてつもない殺気だけでそいつらを倒した。


無意識に『緋龍だ』と呟いたのを、俺は覚えてる。あれだけ強烈な殺気は忘れられない。






< 145 / 476 >

この作品をシェア

pagetop